自分の心膜で、新しい心臓弁をつくる。
異物に頼らない、究極のオーダーメイド治療。
OZAKI法は、患者さんの心膜(心臓を包む膜)を採取し、専用のサイザーとテンプレートを使って新しい弁尖(3枚)を作成。これを大動脈弁位置に縫着する手術です。
自分自身の組織を使うため拒絶反応がなく、ワーファリン(抗凝固薬)の生涯服用が不要になります。納豆やクロレラなどの食事制限もなく、術後は普通の生活を送ることができます。
現在、世界50カ国以上の医療機関でOZAKI法が実施されており、日本国内では40以上の認定施設で手術を受けることが可能です。
人工物ではなく「自己組織」を使うため血栓がつきにくく、血液をサラサラにする薬(ワーファリン)を一生飲み続ける必要がありません。納豆やブロッコリー、青汁などの食事制限もなく、術後も生活の質(QOL)を下げずに過ごせます。若い女性であれば、妊娠・出産も可能です。
既製品の人工弁を当てはめるのではなく、独自の計測器を用いて患者様一人ひとりにぴったり合った弁をミリ単位で作る「究極のオーダーメイド治療」です。また、人工弁のようなステント(枠)を持たないため、心臓本来の自然な動き(弁輪の拡張・収縮)が温存されます。弁にかかるストレスが均等に分散されることで、高い耐久性を発揮します。
OZAKI法は再手術回避率93.4%と良好な成績ですが、万が一将来的に再手術が必要になった場合でも、患者様の選択肢を広く残しておけるのが大きなメリットです。最初に人工弁を入れると次も人工弁になることが多いですが、OZAKI法であれば「もう一度OZAKI法」「人工弁」「カテーテル治療(TAVI)」など、その時の最善の治療法を再び選ぶことができます。
大動脈弁の治療には、患者様ご自身の組織を使う「OZAKI法」のほかに、人工物である「機械弁」や「生体弁」を使用する選択肢があります。
それぞれにメリット・デメリットがあり、すべての患者様に同じ治療が適しているわけではありません。ご自身の年齢や「術後にどんな生活を送りたいか」に合わせて、最適な治療法(適材適所)を選ぶための目安としてご覧ください。
| OZAKI法 | 機械弁 | 生体弁 | |
|---|---|---|---|
| ワーファリン服用(抗凝固薬) | ✓ 不要 | 生涯必要 | 術後3〜6ヶ月のみ必要 |
| 食事制限 | ✓ なし | あり(ビタミンKを含む食品等) | 基本的になし(ワーファリン服用期間のみ制限あり) |
| 弁の音 | ✓ なし | あり(クリック音) | なし |
| 耐久性 | 15年以上 | 20〜30年 | 10〜15年 |
| 使用素材 | 患者様ご自身の心膜(自己組織) | カーボンなどの人工物 | ウシやブタの組織+ステント(枠) |
| 妊娠・出産 | ✓ 可能 | リスクあり | 可能 |
| 透析患者への適用 | ✓ 適応可 | 困難 | 石灰化リスク高 |
19年間の長期追跡調査に基づく、確かなエビデンスをご紹介します。
1,333例
累計症例数
2007年4月〜2022年5月
93.4%
15年再手術回避率
PMDA発表資料より
81.4%
15年生存率
PMDA発表資料より
1.6%
手術死亡率
一般的な弁置換術と同等
出典:PMDA発表資料、JACC Advances 2025論文
OZAKI法は、以下のような患者さんに特に適した治療法です。
抗凝固薬の服用による出血リスクや食事制限を避けたい方。特に活動的な生活を送りたい方に適しています。
納豆やブロッコリーなどの食事制限が一切なく、手術前と変わらない生活を送ることができます。
透析患者さんでは生体弁が石灰化しやすいですが、自己心膜は石灰化しにくく、良好な成績が報告されています。
長期的な再手術リスクを減らしたい若年患者さん。妊娠・出産を希望される女性にも適しています。
ご自身で歩行でき、意思決定ができる状態であれば、80歳を過ぎていても十分に手術は可能です。
高齢での手術に不安を抱える方も多いですが、OZAKI法であれば万が一将来再手術が必要になった場合でも、人工弁とは異なり「負担の少ないカテーテル治療(TAVI)」などの選択肢を残せるため、生涯を見据えた安心につながります。
先天的な弁の異常がある方にも対応可能。306例の二尖弁症例で通常症例と同等の良好な成績が確認されています。
若い女性の患者様でも術後の妊娠・出産が十分に可能です。
また、生まれつき弁が1枚(単尖弁)や2枚(二尖弁)しかない方や、もともと弁の根元が小さい方(狭小弁輪)に対しても、ご自身の心膜を使って均等な3枚の美しい大動脈弁を作り直すことができます。
悪くなった大動脈弁を丁寧に取り除くと同時に、新しい弁の材料となる患者様ご自身の「心膜(心臓を包む膜)」を採取します。
採取した心膜を専用のボード(シャーレ)に広げて固定し、グルタールアルデヒドという特殊な液で処理を行います。この処理を施すことで、心膜が自己組織の良さを保ったまま、しなやかで長持ちする「丈夫な弁の素材」へと生まれ変わります。
「サイザー」という専用の計測器を使用します。弁の付け根にあたる「交連部(こうれんぶ)」間の距離を正確に測り、患者様一人ひとりの本来の弁のサイズをミリ単位で割り出します。
計測したサイズに合う「テンプレート(型紙)」を選びます。処理した自己心膜の上にテンプレートを置き、針を落とす位置まで正確になぞって印をつけ、新しい弁(弁尖)を1枚ずつ切り出します。
切り出した3枚の心膜を、本来の自然な動きができるように心臓へ丁寧に縫い合わせます。生まれつき弁が1枚(単尖弁)や2枚(二尖弁)しかなく石灰化してしまっていた患者様でも、この工程によって均等な3枚の美しい大動脈弁へと再建され、健康な血流を取り戻します。