OZAKI法(自己心膜を用いた大動脈弁再建術)を開発した心臓血管外科医・尾﨑重之。
ベルギー留学での研究から2007年の世界初成功に至るまでの経緯と、患者さんへの想いをご紹介します。
SHIGEYUKI OZAKI, M.D., Ph.D.
心臓血管外科医
「手術が上達すればするほど、多くの患者様を救える。」
心臓外科の「再建」の魅力と、努力が報われる医療を求めて。
心臓血管外科医の尾﨑重之です。
これまで狭心症に対する冠動脈バイパス術や大動脈瘤の手術などに携わり、19年前からは主に大動脈弁疾患の治療に特化してまいりました。
現在、自己心膜を用いた大動脈弁再建術(OZAKI法)を中心に診療を行い、国内外で2,000例以上の手術や指導を経験しています。
悪くなったものを切り取る(マイナス)だけでなく、自らの手で機能をよみがえらせる(プラス・再建)ことができる心臓外科の手術は、外科医の努力や工夫が直接患者様の人生に反映されます。
美しい弁を形成できれば、それだけ長持ちし、多くの患者様を救うことができる。
それがこの仕事の最大のやりがいだと感じています。
国内外での指導
および症例数
7500+
再手術回避率
(15年)
93.4%
OZAKI法の
世界での普及国数
50+
OZAKI法の原点は、1996年のベルギー留学での研究に遡ります。
「人工弁を子羊に移植する」というテーマを与えられた私は、最新の処理を施した生体弁を子羊に移植しました。
しかし、代謝の早い羊(羊の6ヶ月は人間の10年に相当)では、たった6ヶ月で人工弁が石灰化し、カチカチに硬くなってしまったのです。
「こんなものを本当に人間に移植していいのか?」という強烈な疑問が、人工物を使わずに「自分の組織(自己心膜)」で弁を治すという現在の治療法を開発する決意につながりました。
また、どんなに良い治療法でも、私一人しかできない手術であれば救える患者様は限られます。
だからこそ私は、独自の計測器(サイザー)を発明して手術の「再現性」を高め、世界中の外科医が安全に手術を行える体制づくりにも力を注いでいます。
防衛医科大学校 卒業後、海上自衛隊へ入隊。幹部候補生学校(江田島)にて研修を受け、医師としての座右の銘となる「五省」の精神を学ぶ。
人工弁の動物実験を通じ、代謝の早い子羊では人工弁がわずか6ヶ月で石灰化(劣化)する現実を目の当たりにする。この体験が、「異物ではなく、自己組織で弁を治す」というOZAKI法開発の原点となる。
独自の計測器(サイザー)などを発明し、自己心膜を用いた大動脈弁再建術(OZAKI法)による治療を本格的に開始。
東邦大学医療センター大橋病院 心臓血管外科 教授に就任。
これまで国内外で7,500例以上の手術や指導を実施。大動脈弁再建術学会の指導医として、独自の手術手法を「世界中の外科医が安全に再現できる規格化された技術」へと昇華させ、世界50カ国以上へのOZAKI法の普及と後進の育成に尽力している。